何度も言っているが、今回の旅の一番の目的は「マヤベイを見る」だ。


映画「ザ・ビーチ」のあのビーチに魅了されてはや20年。やっと念願のビーチを拝みに行ける、ということで嫌でもテンションが上がってくる。

先日予約したツアーの迎えを、ザビーチの舞台にもなったホテルのロビーで待つ。こんな楽しみなことが人生でこれまであっただろうか。

9時に迎えに来る、との事だったが、几帳面な日本人、10分前にはロビーに降りて、今か今かと迎えの車を待つ。





あれ?

不安になって昨日貰った紙を何度も見直す。


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9時から9時15分の間に迎えに行くよ、と書いてある。

間違えてはいないはずだ。

時計は既に15分を回っている。

「プーケットは渋滞が凄い」とそういえばネットで見た気がする。

たまたま渋滞してるだけだ、もうすぐ来るさ、と自分に言い聞かせる。もちろん不安で仕方が無い。



おなじ様にホテルのロビーで迎えの車を待つ客が一組、また一組といなくなっていく。

彼らはどこへ行くのだろうか。

気付いたら私一人がロビーで待ちぼうけを食らっている。

時間は9時20分を過ぎた。

これはおかしい、そうだ電話だ!と電話を掛けることにした。

昨日予約した際に「何かあったらこの番号に掛けるように」と言われていた番号をプッシュしながらふと不安がよぎる。

相手が英語が喋れなかったらどうしよう…そもそも電話で意思疎通が成立するのか…



以前アジアを旅行した際に、現地人と電話で話をする機会が何度かあった。

対面だと相手の顔色やボディランゲージなどでなんとか通じる話も、電話だと会話のみなのでとても難しくなる。

これで英語が喋れなかったら完全にお手上げだ。

困った私は、フロントのお姉さんに泣きつくことにした。

「迎えの車が遅れている。この電話に掛けて欲しい」、と。

最初は電話を貸してほしいだけなのかと思っていたが、私の要望を理解してくれたようで、迎えのドライバーに電話を掛けてくれた。

全く、どうなってるんだ!時間にルーズにもほどがある!

なんてことを思っていたら、フロントのお姉さんが私を呼ぶ。

「もうすぐに着くから入り口で待っててくれって!」

私は礼を言い、慌てて入口へと向かうと、多国籍満員ハイエースが凄い勢いで向かってきた。



「遅れてごめん」「急いでるから早く乗れ」と強引な運転手にせかされ、つつハイエースに乗りこむ。

最初が肝心なので、「ハイ!」と元気に挨拶をしてみたが全員に無視された。なんだ、シャイなのはそっちじゃないか。

車内は中華系のカップル、サウジから来たお兄さんグループ、欧米人グループとまさに多国籍。

ただ、どう見てもひとりで参加しているのは私だけなような。

「あ、これもしかして間違えた?」と一瞬思ったが気にしないことにした。逆に日本人がいた方が気まずい。それよりはマシだ。

そんな事を考えながら車に揺られること15分ほど走っただろうか。どうやら目的地に着いたようで車から降ろされる。

プーケット中から集まってきたのだろう、4~50人ほどの観光客が待つ小屋へと向かう。

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フリードリンクと軽食が用意されており、自由に飲み食いしていいらしい。

が、中華系の団体が占領している。食べるならそこをどけよ!とは言えない気弱な日本人。適当にコーヒーを受け取り隅っこですする。

あ、なんだろう、ちょっと泣きそうだ。



そうこうしてるうちにボス的なおば様の説明が始まった。

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結構な早口の為、話が半分くらいしか理解できない、がツアーはツアーだ。なんとかなるだろう。



説明が終わると、紙に名前と国籍を記入させられる。

申し込み用紙と照らし合わせて、グループ分けをされる。

VIPツアーは赤、ノーマルツアーは青、といったところか。

私はケチったので青グループに分けられる。



そしてここで、衝撃の事実を知ることとなる。

もちろんうすうす気づいていたのだが、一人で参加しているのは私だけ、という事だ。

正確には赤グループにも一名おじいさんが一人で参加していたが、チームが違う以上行動は完全に別となる。つまり、この瞬間から夕方、解散するまで、私は「全員がグループで参加しているボートツアーに一人で参加する変わり者」となる訳だ。

学生時代にあった、「はいじゃあみんなでグループ作ってー!」で一人漏れた子の気持ちだ。

それが終日続くことになる。泣きそう、どころの騒ぎじゃない。



そんな心配もよそに、ツアーは順調に進む。

トイレを済ませるとグループごとに船に乗り込む。

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おひとり様はどこに座っていいかわからないので最後に乗り込む。

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案の定、椅子など残ってなかった。船のへりに腰を掛ける。

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桟橋では楽しそうに釣りをするローカルの親子が。そっちに混ざろうかな?

なんて願いもむなしく、船は走り出す。

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不安でいっぱいなツアーが始まった。